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君は伝説の和製OS 「超漢字」を知っているか!?

shi3zです。
僕がenchantMOONのプロジェクトを始めるにあたって影響を受けた既存の製品は二つあります。
ひとつは、Appleの天才、ビル・アトキンソンが作ったHyperCardで、もう一つは東大の坂村健助教授(当時)が作ったOS郡TRON(The RealTime Operating System Nucleus)のなかでも、最もPCに近い形で提供されているBTRONです。

TRONプロジェクトは、東大坂村健を中心として1984年から進められている国産の強力なOSを開発・普及させることを目的としたプロジェクトだ。

用途によって様々なTRONが作られ、特に通信向けのCTRONはNTTの電話交換機に採用され、組み込み向けのITRONは携帯電話やビデオデッキを始め、日本製の数多くの家電製品に採用された実績がある。

今日は中でもBTRONについて改めて振り返ってみたいと思います。

実はBTRONは、1989年にアメリカとの通商問題で国内での製品化が頓挫し、せっかく国産の本格的なGUI-OSが事業化できる一歩前に立ち消えになってしまったという苦い歴史があります(ただし実態には諸説あります)。

いまは幻となってしまった夢のOSなのですが、過去にパーソナルメディア社が中心となって開発したBTRONの実装は、BrainPad TiPOや、超漢字シリーズとして製品化されています。

今回はMacでもVMWareで動かすことができる超漢字を試してみました。

とはいっても、まず買うのがちょっと大変で、秋葉原のヨドバシカメラに行ったところ、「超漢字ありますか?」と聞くと「ソースネクストさんのですか?」と聞かれ、「いや、そうじゃなくてオペレーションシステムです」と答えると、すったもんだのあげく、フォントコーナーに二本だけ在庫があった。

スクリーンショット 2013-10-05 23.18.44

まあこの名前ではフォントコーナーに置かれても仕方がない。Macintoshが生鮮食品売り場にあるくらいの違和感だけれども、18,000円。これで採算がとれているのか他人事ながら心配になるけれども、とりあえず購入して家に帰る。

起動の仕方がいきなりわからなくなるなどトラブルもあったんだけど、Twitterでヘビーな超漢字ユーザーの方々からアドバイスをいただき、なんとかVMware Fusionで動作させることに成功!やったぜ、万歳

スクリーンショット 2013-10-05 17.29.37

でました。超漢字V。
BTRONはOSの規格の名前で、誰でも無償でBTRON規格のOSを実装し、販売することができます。
これはさすが学問の世界からスタートしたプロジェクトらしいところです。

超漢字は製品名。
そのバージョン5ということです。

BTRONの何が凄いのかというと、何と言っても、仮身/実身モデルという画期的なハイパーテキスト構造を持っていることによってOSの自由度が高いという点にあります。

仮身(かしん)とは、いわばハイパーリンクのボタンのようなもので、仮の身、ということです。
そして実身(じっしん)とは、データ本体を意味します。

一つの実身(データ)に対して、複数の仮身(ハイパーリンク)からハイパー構造を持ってリンクされる、という点がこのアーキテクチャの凄いところなのです。

単なるコンパウンド(複合)ドキュメントの手段にとどまらず、全く新しいハイパーテキスト管理環境を提供しているのです。

感覚的には文字だけではわかりにくいというので、実際の画面で説明しましょう。

起動直後はこんな感じ

起動直後はこんな感じ

超漢字を起動した直後はこんな感じのウィンドウが開きます。今見るとWindows3.1みたいですが、それよりずっと前に作られた画面です。原紙箱というウィンドウが右側にあります。

BTRONでは、Apple LISAのように、新しいデータを作ることがOSの基本機能になっています。

たとえばメールを書きたければ、「メール用紙」をまず作り、文章を書きたければ「原稿用紙」を作る、といった具合です。

原稿用紙というデータの裏側に、原稿用紙を編集するためのアプリケーションが隠れているという格好です。

Webブラウザを使いたければ「ブラウザ用紙」を新しく作る必要があります。
このへんはあとから付いた機能だと思うのでやや苦しい感じは否めませんが、とにかく起動してみます。

スクリーンショット 2013-10-05 17.33.00

試しにwise9を表示してみました。

HTML5ってなんですか、という感じだけれども、これはBTRONが成立した80年代という時代背景を考えれば仕方がないでしょう。

絵を描くには「画用紙」を使います。

画用紙を使って絵を描く

画用紙を使って絵を描く

BTRONのアプリ全体がそうなのですが、編集する画面とツールのアイコン類が離れていてどこにツールが出てるのか一瞬戸惑うことがあります。しかし、MacOSやWindows95以降のOSのように、画面のどこか特定の場所にアイコンやボタン、メニューが並んでいないというのは、BTRONがスケーラブルな画面に対応したOSを指向していたという痕跡として捉えることが出来ます。

 

画用紙はドローイングツールとして一通りの機能を持っています。

次に原稿用紙を開いて、文字を入力してみましょう。

スクリーンショット 2013-10-05 17.36.32

原稿用紙はふつうのテキストエディタで、本物の400字詰め原稿用紙みたいなのをイメージしてるとちょっと戸惑います。

テキストエディタで、しかも超漢字というだけあってフォントもなかなか美しいのが嬉しいですね。

Windowsでいえば「メモ帳」みたいな存在かと思いきや、ここに仮身を張り込むことが出来ます

スクリーンショット 2013-10-05 23.34.52

仮身、つまりハイパーリンクで、しかも仮身は「開く」ことで、内容をその場に表示できるのです。
これはBTRONでは「開いた仮身」と呼ばれる特徴的な機能でもあります。

さらに実身の方を他の操作で編集し、保存すると・・・

画用紙の実身を変更

画用紙の実身を変更

この変更が、もとの原稿用紙の「開いた仮身」に反映されるのです

もとの実身の内容が変更されると、開いた仮身の内容も変更される

もとの実身の内容が変更されると、開いた仮身の内容も変更される

HTML風の説明をすれば、「仮身」とはハイパーリンクのAタグであり、「開いた仮身」とは、iframeと似ています。

また、BTRON上で扱うあらゆるアプリケーションのデータにおいて仮身と開いた仮身を使うことが出来るのです。

表計算のセルにも仮身や開いた仮身を貼付け可能!

表計算のセルにも仮身や開いた仮身を貼付け可能!

こうした機能があることから、BTRONは極めて高度なハイパーテキスト環境を実現したOSであると言えます。

さらに、簡易プログラミング機能も内蔵しています。

ブラウザ上に表示されている画像を実身として取り込むことができる

ブラウザ上に表示されている画像を実身として取り込むことができる

ブラウザ用紙に表示されているデータを実身としてコピーすることができるので、これを「スクリプト用紙」にコピーします。

いくつかのお約束のあと、プログラミングを行うことになります。
BTRONのプログラミングには「マイクロスクリプト」と呼ばれるプログラミング言語を使用します。

マイクロスクリプトを入力

マイクロスクリプトを入力

ここでは、enchant.jsのロゴを出すだけの簡単なプログラムを書いてみました。

実際に実行するにはスクリプト用紙の仮身の状態で右クリックして「実行」を選びます。

右クリックメニューから実行→マイクロスクリプトを選ぶ

右クリックメニューから実行→マイクロスクリプトを選ぶ

これを呼び出すと、新しいウィンドウが開いてマイクロスクリプトが実行されます。

実行された!

実行された!

こんな感じで、簡単にプログラミングできる環境まで整っているところは、非常にenchantMOONが影響を受けた部分でもあります。

 

こんな野心的なOSがまだ売られていて、いつでも触れるようになっているのは本当に嬉しいですね。
Macでも試すことが出来るので機会があったらぜひ試してみて下さい。

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