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GDCレポート: プレイヤー駆動型のストーリー作法

みなさん、おはよーございます、Hidemyです。
任天堂の代表取締役社長岩田聡氏のキーノートを皮切りに、GDCもついにカンファレンスが大々的に始まりました。いよいよという感じです。

今日はルーカスアーツ のケント・ハドソン氏による「プレイヤー駆動型のストーリー作法(原題:PlayerDriven Stories: How do we get there? 」が面白かったので、それについてレポートしたいと思います。

ハドソン氏は「Deus Ex」や、「エルダーズスクロールズIII モロウィンド(オブリビオンの前作)」、「バイオショック2」など、練り込まれたシナリオで定評のある作品を手がけた経験豊富なゲームデザイナーで、今回の講義ではその作劇術の秘密に迫るという大変意欲的なものでした。

こういうセミナーは日本ではなかなか聞くことの出来ない貴重なお話です。

(続きは以下のリンクから)

映画のようにただ物語を追うのではなく、ゲーム中におけるアクションに対しプレイヤー自身が意味を見いだしたり、独自の見解を物語に加えたりするにはどうすればいいのか、ゲームをよりインタラクティブに、ユニークにしていくにはどうすればいいのかについて、教えてくれました。

■自己決断の法則

プレイヤーに決定権を与える事が、ゲームプレイをより楽しいものにする、
それには、agency(作用), relatedness(関係性), competence(能力) の3要素が重要な役割を果たします。
従来はautonomy(自律性)という概念で理解されていたものを、agency(作用)という概念に変えて理解することが重要です。

これらが、プレイヤーに物語上に影響のある決断をさせ、そして独自の物語を展開していくことに関わります。

それには、Unified Agency、つまり、プレイヤーとゲーム内に登場するキャラクターの動きが一体となっていることが望ましいようです。

ですがここで、リアリティを求めすぎないのがポイントで、リアリティを追求しようとすると、このプレイヤーの影響が少なくなってしまうようです。

(図:fidelity and agency)

また、ゲームのプレイ以外の部分で、
プレイヤーが操作しないカットシーンにおける要素は、

・ナレーション
・物語
・環境
・モデリング
・アニメーション

の5つがあります。

(図:5 elements)

ここで一時期話題になったPassageというゲームに言及します。
PassageはUnix、MacOS、Windowsで動作するゲームで、非常にシンプルながら奥深い内容が高い評価を受け、日本でも話題になりました。

Passageはこちらからダウンロードできます
http://hcsoftware.sourceforge.net/passage/

しかし、Passageをプレイしてみると、

五大要素のうち、2つが抜けていることがわかります。

Passageにおいては、上記のうち

・モデリング
・アニメーション
・環境

しかありません。
ナレーションがなくても、物語が用意されていなくても、
語られない部分については、プレイヤー自身が補完していくのです。
プレイヤーはそれぞれ、自分、家族、友人の人生と重ね合わせることで、
そこに感動が生まれるのです。

また、Passageは伴侶を得て生涯を供に送るパターンと、
ひとりのままゲームが終了するパターンもあります。
同じ環境でも違う物語性が生まれてくるのも特徴です。

それをふまえると、上記の5要素は以下のように考えられます。

・ナレーションは独立したもの
・物語はシステマタイズされたものでありかつ独立している
・環境は繰り返し使われていい
・モデリングとアニメーションは場合によって最適化される

それぞれが必ずしも必須項目ではなく、選択していいものとなります。

プレイヤーを引き込むためには、
必ずしも美しいグラフィックやナレーション、音楽が必要な訳ではない事がわかります。

■システムの必要性

ゲームプレイと物語の展開の橋渡しをするのが、ゲームシステムです。

(図:bridge)

プレイヤーが物語を追うだけになりがちな挿入シーンにおいても、10%のゲームプレイを挿入する事で、プレイヤーは自分のその行為がその後の展開を引き起こしたかのように感じられます。挿入シーンでなくても、わかりやすい例でいえば、HPが0になったときや、ミッションが失敗してゲームオーバーになってしまったときなどがそうです。

しかし、このときに注意しなければならないのは、
システムが入り組みすぎて、わけが分からなくなってしまってはいけません。
順序立てて追わせていく事で、プレイヤーに意味を発見させるのです。

■時間と物語の盛り上げ方

時間とプレイヤーのテンションの関係性として、
Hudson氏は以下のようなグラフを見せてくれました。

(図:time and tention)

始めの盛り上げと中間の盛り上げ、
さらにはそのあとの若干の中だるみの後にクライマックスをもってくるという。
なかなか興味深いグラフです。

また、順を追って情報を並べる事で、
プレイヤーはそれぞれの意味のつながりを考えます。
このように、ゲームシステムがストーリーをつなぎあわせることにもなります。

以上が、まとめとなります。
プレイヤーにゲームプレイをより楽しんでもらうためには、プレイヤーに関わりをもってもらい、そして解釈の余地を残すことが重要なんですね。
また、奇麗なグラフィックや音楽はプレイヤーの興味を引きますが、それが必ずしも必要ではない事もわかりました。壮大なコストをかけなくても、楽しんでもらえるコンテンツというのは工夫次第、といったところでしょうか。
参考にしていきたいです。

それではみなさんまた明日。

文・Hidemy

 

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