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MWC2011総評:キーワードは「Android」と「課金プラットフォーム」

バルセロナで開催されていた「Mobile World Congress2011」についてのレポートを連載でお届けしていました、wise9編集部のリョウヘイです。連載の最後に、このイベントを通した総評をお届けしようと思います。

Androidはこれからもっとオモシロくなる!

今回の発表の主役はやはりGoogleのAndroid。中でも記事で紹介した「GALAXY SⅡ」はカタログスペックに秀でた「秀才」で、これ以上のスペックを搭載した機種が登場しても、普通のユーザは持て余してしまうんじゃないか?という印象です。

もちろんSAMSUNGにとって今回発表した「Ⅱ」は本命馬。バルセロナのMWC2011会場をはじめ、ロンドンやパリなど主要な都市でもプロモーションを展開しています。昨年秋発売の「GALAXY S」は、世界で1億台を出荷、日本でも販売トップという大きなシェアを獲得していますから、SAMSUNGとしては「Ⅱ」の発売を機に一気にGALAXYブランドを定着させようという戦略のようです。

すでにオールマイティな能力を持った「秀才」がいる市場では、なかなかそれを超えるものを出すことはできません。カタログスペックで既発の端末と同等のものを出しても、市場では全く注目されない。尖った才能を持った「天才」でない限り「秀才」を超えることはできないわけです。

逆に他社は「GALAXY S」という秀才を超える、独自のコンセプトを持った端末をどんどん出してくるでしょう。今回発表された中では、例えばPlayStaiton Suiteに対応したXperia Play記事)、HDMI出力とLapDockで新しいユビキタスコンピューティングの形を提案したMotorola ATRIX記事)などが挙げられます。

Androidに「乗っかる」利点は、スマートフォンの最低限の機能やUIはすでにあるスタンダードなものを利用できること。だからこそ、その上に特色を盛り込んでも、全体的にバランスの悪い使いにくい端末になりにくいことが利点です。企業としては、独自色のあるスペシャリストな端末を打ち出していくチャンスなわけです。

2011年は”Androidの年”ともいうべき年。その波に乗るべく、たくさんの企業がお互いのスペックを競うように似通ったAndroid端末を作っていましたが、そろそろみんな、既存の「携帯電話」「スマートフォン」の概念を脱するような端末でないと、iPhoneやGALAXYに勝つことはできない、と気付いてきたのでは?と、いくつかの「トガった」端末を見ていて感じました。

Androidがオープンである意味は、決して「誰もがiPhoneみたいな端末を作れるから」ではないはず。これから各社が、Android端末を通してどんな新しい生活を提案してくるのか。逆に、携帯に囲まれて育った私たち、日本の若い世代だからこそ、Androidケータイを使ったまったく違う生活スタイルを実現できないか。

これまで以上にオモシロくなりそうな予感を見せるAndroid。期待がますます高まった4日間でした。

加熱する決済プラットフォーム競争、日本はどうする?

さて、ちょっとMWC2011の話題からは離れて、最近のニュースをご紹介します。

今月半ば(2011年2月16日)に、アメリカで2番目に大きな巨大書店チェーン「Borders」が破産しました。アメリカでは伝統ある書店で、ニュースを見ても「紀伊国屋破産」くらいのインパクトで伝えられています。

業界二位のBordersももちろん、一位のB&Nも、ここ数年はAmazonのネット書店や電子書籍の販売に押されて業績が大きく悪化していたところでした。

Bordersではamazonに対抗するため「borders.com」のサイトで電子書籍とリーダー端末の販売をはじめたのですが、ファイルはkindleと互換性のないePub形式。結局すでに普及しているKindleに対抗することはできず、さらに破産を早める結果となりました。

参考: 米書店2位、週明けにも破産法申請か アマゾン対抗できず  :日本経済新聞

先日お会いした国連事務局勤務の方に話を伺ってみると、「私も事務局の同僚もみんなKindle端末や、iPadのKindle Readerを使っている。マンハッタンではAmazonで朝に頼んだ書籍が夕方に配達されるが、Kindleなら一瞬でダウンロードできる。」とのこと。

日本ではまだ電子書籍端末を見ることは少なくイメージしにくいですが、米amazon.comではKindle書籍の売り上げが紙書籍の売り上げをすでに越えているなど、米での電子書籍市場は想像以上に圧倒的な広がりを見せています。

Border.comがKindleの圧倒的な普及の前に失敗したように、すでに力を持っている課金プラットフォームに対抗することはすごく難しいことです。優良な顧客を囲い込んだ力のあるプラットフォームは、コンテンツプロバイダ(電子書籍における出版社、アプリにおけるデバロッパ)にとっても魅力的な場所。だから優秀なコンテンツが集まることになります。プラットフォーム間の互換性がなければ、ユーザは良いコンテンツがあるプラットフォームに集まりますから、そのループはより寡占状況を強めることになります。

書店業界1位のB&Nもダマって沈むわけにはいかないと、「Nook」という端末を出して電子書籍プラットフォーム競争に追随しようとしましたが、相次ぐ新機種の投入にもかかわらず今のところ3倍近くのシェア差を付けられています。

「課金プラットフォーム」においては、他のプロダクトやサービスに比べて一度シェアを握った企業に対抗するのはすごく難しいのです。その点で、シェアを握るiPhone & AppStore連合に対するAndroidの猛烈な追い上げは奇蹟ともいうべき。OSをオープンソースにすることで、多くの企業とタッグを組んでAppleに対抗したのが勝因でしょう。

今回のMobile World Congress 2011では、そうした課金プラットフォーム競争を見据えた新しいサービスや製品が数多く揃っていました。先日ご紹介したIntel MeeGoとAppUpもそのひとつ

またGALAXY SⅡ、Blackberryの新機種をはじめ、NFC(Felica規格と互換性のある、近距離通信の国際規格)への対応をアピールしている機種が多くありました。NFC think-and-goのサイトでは、これから発売される300以上の新機種がNFCに対応すると発表しています。Bloombergの報道によると、iPhone 5やもうすぐ発表されるiPad 2もNFCに対応しているとのこと。

日本で発達している電子マネー経済も話題を集めていました。既にお伝えしたように、DoCoMoブースの「おサイフケータイ」とFelica規格に関するプレゼンテーションは大盛況。通路を埋め尽くすほどの人だかりができていました。世界が日本の先進的な決済・課金プラットフォームに注目しているのです。

MWCでの展示はなかったものの、つい最近PayPalがモバイル端末による新しい少額課金サービスを始めたりしたのも話題になっていましたよね。この「PayPal Micropayment」経由で決済すると、手数料が「5.0% + 5セント/7円」と圧倒的に少額で済むのがデバロッパにとっての魅力。独自端末や規格を持っていないPayPalとしては、安さで攻勢をかけたい戦略のようです。

課金プラットフォームのスタンダードはどこが握るのか。Apple、Google、Amazon、Intel、NFC、Paypal、はたまた全く別の規格/企業か。いくつかは共存するかもしれませんし、いくつかは普及したサービスを前に廃れていくことでしょう。これから各社の間でこれから大きな競争が予想されます。

ここ日本においては、すでに携帯電話の分野において、各社が優秀な課金プラットフォームを構築しています。勤務先や自宅、どこからでも数クリックで決済でき、料金は携帯料金と同時に引き落とされるためカード情報も不要。いまGREEやモバゲーなどソーシャルゲーム関連企業が大きな利益を得ているのも、すでにあったプラットフォームのおかげ。でもこのままでは、黙ってAppleやGoogleのプラットフォームにユーザを引き渡すことになります。追われる立場の日本としては、どう戦略を立てたら良いのか? どんどん激化していく「課金プラットフォーム競争」も、2011年のキーワードになりそう。

以上で「Mobile World Congress2011」のレポートは終わりです。最後までお読みいただきありがとうございました。MWC2011に関する他の記事はこちらからどうぞ。

文・リョウヘイ

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